以前は、住宅ローンの期間に合わせて火災保険も35年を契約期間とすることができましたが、保険業法改正に伴い、2015年10月1日以降、保険期間が最長10年になってしまいました。
そして、最近一部報道で、大手損害保険各社が、さらに保険期間を5年に短縮することを検討し始めていると報じられました。
実際に最長5年契約に短縮された場合、契約者にはどのような影響が生じるのでしょうか?
今回の検討の背景とあわせて説明します。
最長5年契約となった場合の影響
保険料の総支払額が高くなる
火災保険は長期契約になるほど保険料が割安に設定されています。
家を購入する際、住宅ローンを利用しますが、基本的には、住宅ローンを利用している間は、火災保険の加入が必要になります。
以前は、35年の住宅ローンに対して、35年の長期火災保険の契約が可能だったため、保険料も初期費用としては、高額になったとしても、35年で割ると割安になっていました。
保険業法の改正に伴い、10年の保険契約では、35年の保険契約と比べたら、1年単位の保険料は、割高になっています。
そして、もし保険契約期間が5年になった場合、10年契約と5年契約2回では10年契約の方が保険料総額は安くなります(契約期間の途中で保険料の値下げや補償内容の変更がなかった場合)。
火災保険は10年間契約すれば終わりというわけではないので、更新のたびにこの保険料の差額が発生することとなります。
改定の影響を受けやすくなる
契約期間を最長5年にすることで改定の影響を受けやすくする目的もあるようです。
契約後に火災保険の商品内容が改定された場合、契約者がその影響を受けるのは契約期間満了時の継続更新契約又は新たに保険契約をしてからです。
保険内容が改定される前に契約をした火災保険は、その契約期間の終了までは改定前の内容で継続します。
10年契約に比べ5年契約は、保険契約期間が短いということもあり、その間に火災保険が改定された場合、早く影響を受ける形になります。
契約の見直しはしやすくなる
自動車保険などは、基本1年更新になるので、更新時期に、保険会社の見直しをする為に、一括見積もりを利用される方が多くなっています。
今までは、長期で考えることが多かった火災保険ですが、5年契約の都度更新するということは、その更新タイミングが保険料の見直しのきっかけになるチャンスになるのです。
その更新のタイミングが5年ごとに来るか10年ごとに来るかの違いではあるのですが、5年契約の方が補償内容の確認・見直しはしやすくなるでしょう。
いつから影響を受ける?
実際に保険期間の最長が5年に短縮された場合、いつから影響を受けるのでしょうか?
「改定の影響を受けやすくなる」のところでも書きましたが、契約者がその影響を受けるのは契約期間満了時の継続更新契約又は新たに保険契約をしてからです。
改定が実施される前に現在の最長の10年契約を行ったという場合、改定の影響を受けるのはその10年契約が終わった後です。
もちろん、改定後に保険契約を解約して後に再契約した場合は、改定後の保険内容で影響を受ける形になります。
また、今回は4社の大手損害保険会社について報じらましたが、そのほかの損害保険会社がどのような動きをしているかまでは明らかになっていません。
保険契約の継続更新時に、保険期間の最長が5年になった場合で、他の保険会社が10年契約を適用しているのであれば、そちらの保険会社に乗り換えることで10年の保険期間で契約をすることができます。
どうして最長5年とすることが検討されているの?
2015年の保険業法の改正で最長35年から10年に短縮され、さらに5年に短縮されることが検討されている背景としては、ここ数年の自然災害が原因になっています。
保険期間の見直しや保険料の算出基準は、将来的に自然災害が起こる確率やその時に予想される保険金の支払額などに基づいていますが、算出基準で対応できない程の自然災害が続けば、保険会社としても収支が悪化する為、保険内容の見直しをせざるを得ません。
保険内容の見直しに伴い保険料の値上げが実施されますが、その値上げは、現在の保険契約期間が終了して、継続更新するまでは反映することはありません。
そのため、保険契約期間を短縮することで保険料の改定が反映されやすくしようとしているのです。
ここ数年の自然災害に伴い火災保険料は値上がりの傾向にあります。
すでに2019年10月に保険料の値上げが実施されており、さらに2021年1月にも保険料の値上げ予定になっています。
保険契約の期間が短くなってしまうと、継続更新の機会が増え、継続更新のたびに保険料が上がっていくという可能性もあります。
保険料を安くするには
近年の自然災害に伴う保険料の増加ばかりでなく、契約期間も最長5年になってしまうと総額の保険料が高くなる可能性があります。
継続更新時に、保険料を安くするにはどうすればよいかを紹介します。
不必要な補償は外す
火災保険は、補償される内容が充実するほど保険料が高くなる傾向があります。
保険料を節約するには、必要のない補償内容を除外することです。
高層マンションでは、水災補償を外すことで、保険料を大幅に削減できます。
高層マンションの他にも、ハザードマップなどを参考にすると補償内容の必要性の有無も検討できます。
また、最近の火災保険は、補償内容をある程度カスタマイズできますので、おすすめされた保険内容がすべてと考えずに、他社でも比較検討してみるといいです。
なるべく長期一括で支払う
火災保険は月払よりも年払、年払よりもすべての保険期間の保険料を一括で支払う方が保険料の総額が安くなります。
ただし、長期間の保険料を一括で支払うと1回の保険料の支払い負担は大きくなります。
保険料を支払った後に生活が苦しくなるということがないようには注意が必要です。
ちなみに、長期一括払をした後に途中解約をしても未経過分の保険料は返ってくるので解約時の心配はあまり必要ありません。
免責金額を設定する
免責金額を設定することで保険料を安くすることができます。
免責金額とは、簡単に言えば自己負担額です。
例えば、免責金額が3万円で10万円の損害が発生した場合、3万円は自己負担して残りの7万円が保険金として支払われます。
免責金額を高く設定するほど保険料が安くなりますが、損害が発生したときの自己負担額も大きくなってしまいます。
万が一の時にいくらまでの自己負担なら耐えられるのか考えたうえで設定するようにしましょう。
保険料の安い保険会社と契約する
火災保険は同じ条件であっても保険会社によって保険料が異なります。
銀行やハウスメーカーなどで勧められた火災保険以外にも目を向けることで保険料が安い保険会社と契約できるかもしれません。
保険料が安い保険会社を探すには一括見積もりサービスが便利です。
一度の情報の入力で複数社から火災保険の見積もりを取ることができます。
一社一社個別に見積もりを依頼する手間が省けます。利用は無料なので、ぜひ気軽に利用してみてください。
まとめ
相次ぐ自然災害で長期間の収支予測をすることが難しくなっていることから、保険料改定を反映させやすいように保険期間を現行の最長10年から最長5年へと変更することが検討されています。
実際に5年に変更された場合、改定の影響を受けやすくなる以外にも、長期契約による割引率が5年契約の方が低くなるので保険料の総支払額が増えることが考えられます。
長期契約をする以外にも保険料を安くする方法はありますので、紹介した方法を参考に保険料を安くできないか試してみてください。
火災保険の見積もりを1度の情報入力で複数社から取ることができるサービスです。
火災保険には主に、【建物】と【家財】2つの補償内容があります。
建物は文字通り建物に対する補償、家財は家具や洋服などの動産に対しての補償です。
補償内容としては
○火災(火災、落雷、破裂・爆発)
○風災(風災、雹災、雪災)
○水災(台風、洪水、土砂崩れ)
○日常災害(盗難、水濡れ、建物外部からの物体の衝突)
○その他(偶発的な事故による破損・汚損)
などがあります。
この補償内容をそれぞれ手厚くすればする程、保険料が高くなります。
逆に、マンションの3階だから水災補償はいらない、などと保障内容の取捨選択をすることで、保険料金を安くすることもできます。
各社の見積もり内容を見比べながら自分に合った補償内容の保険に加入してもらう土台となるサービスです。