少子高齢化によって福祉の財源が危機的な状況を迎えているわが国では、消費税率を段階的に引き上げ、さまざまな世代から広く薄く負担を求めることによって、この難局を乗り切ろうとしています。
消費税はもともと会社などが事業の一環として対価を得て行っている商品の販売や貸し付け、サービスの提供などがあった場合に課税されるものです。
しかし、こうした類型に該当しそうな取引であったとしても、性質的に課税することがなじまないものや、低所得者の負担軽減などの社会的な配慮が必要なものも存在することは確かです。
そこで消費税法のなかでは課税されない取引についても条文として列記されており、そこには土地の売買や貸し付け、国債や株式などの有価証券の譲渡などのほかにも、大学の授業料や住宅の貸し付け、介護保険サービスの提供などが含まれています。
より正確にいえば消費税が課税されない場合には非課税と不課税とがあり、資産の譲渡などの対価にはあたらない自動車保険の保険金や共済金などは、このなかの不課税に分類され、やはり消費税がかからないことになっています。
それにもかかわらず、消費税率の引き上げによって、自動車保険の保険料も値上げは不可避といわれています。
契約者の側から見れば消費税率の影響を受けないはずの保険関連で値上げがあるのは不可解ですが、そこにはいくつかの理由が存在しています。
たとえば自動車保険のラインナップとしては対人賠償保険のほかにも対物賠償保険が存在しています。
もしもこうした保険を使って被害を受けた自動車の修理や全損時の新規購入を行った場合には、車体そのものの売買や修理などのサービスの提供には消費税が転嫁されるため、税率が引き上げられた分だけ保険金も増額しなければなりません。
また消費税がかからない商品やサービスは少数派ですので、自動車保険を代理店を通じて販売しようとする場合には、店舗の維持費などのさまざまな運営経費の増加分は保険会社がコミッションの値上げというかたちで負担しなければならず、これも保険料値上げにつながる要因となり得ます。
したがって契約者の立場ではなく代理店や保険会社の立場で消費税率のアップを見れば、事情はかなり異なる様相を呈していることがわかります。
このような保険料の値上げに対抗する上で契約者としてできることは、たとえば代理店を通さないダイレクト型の自動車保険に掛け替えたり、契約の対象を運転者を家族だけ、または一定の年齢以上の人だけに限定する特約を新たに追加するなどして、保険料ができるだけ安価になるような見直しをすることです。
最近ではリスク細分型自動車保険といって、ドライバーごとに決まるリスクをできるだけ正確に契約内容として反映させることで、保険料のカットを図るタイプの保険商品がありますので、こうしたものを利用して、ドライバーの年齢以外にも、ゴールド免許取得の有無や年間の走行距離などを正当に評価してもらうことも考えられます。
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