色々使える個人賠償責任保険とは?

自動車保険や火災保険、傷害保険などの契約をするときに特約として個人賠償責任保険を加入をすすめられることがあります。

個人賠償責任保険とは、保険会社によっては日常生活賠償責任保険とも言われており、日常生活の中で人にケガをさせてしまったり、物を壊してしまったなど法律上で損害を賠償しなければならない事故を起こしてしまった場合に備える保険です。

今回は、個人賠償責任保険について、いろいろな角度から見ていきたいと思います。

どんな事故が補償されるの?

個人賠償責任保険は、どんな事故の場合に補償されるのでしょうか?

事故の例を見てみましょう。

個人賠償責任保険で補償される例
  • 洗濯機のホースが外れて、マンションの下の階の部屋を水浸しにしてしまった
  • 散歩中、飼い犬が他人に飛びついて転ばせ、ケガをさせてしまった
  • 買い物中、カバンが商品にぶつかってしまい壊してしまった
  • 自転車で走行中、信号待ちの人の足をひいてしまった

など、「賠償責任を負う事故」というと重大な事故のようにも思えますが、意外と身近にありそうな事故も対象になります。

もちろん故意では補償されませんが、ケガをさせてしまった相手への治療費や壊したものの修理費、慰謝料などが補償の対象になります。

また、「自分は悪くない」「相手のほうがより悪い!」などともめてしまった場合には、裁判や調停などにかかる費用も対象になります。

しかし、この場合、当事者同士で話を進めず、保険会社に確認を取りながら話を進めていかないと、すべて補償されない場合も出てくるので注意が必要です。

補償されない場合は?

個人賠償責任保険は、どんな事故の場合に補償されないのでしょうか?

事故の例を見てみましょう。

個人賠償責任保険で補償されない例
  • 仕事中に起こった事故
  • 借りていたものを壊してしまった場合
  • 一緒に住む家族をケガさせたり、家族の物を壊してしまった場合
  • 故意やケンカによりケガをさせたり、物を壊してしまった場合
  • プライバシーの侵害など、形のないもの
  • 心神喪失が原因で他人にケガをさせたり、物を壊してしまった場合
  • 自動車、航空機、船舶などでの事故 ※専用の保険が存在するため
  • 国外で起こった事故 ※保険会社によっては補償される場合もある
  • 戦争やテロ、地震や噴火などの大規模な災害による損害

保険に加入するときは補償の対象となる場合はもちろん、補償の対象とならない場合についてもチェックしておきましょう。

個人賠償責任保険に入っていれば自転車保険の加入は必要なし

最近では自治体が「自転車保険」への加入を義務付けるというニュースも聞かれるようになってきました。

自転車保険は、個人賠償責任保険の内容を限定した特約に該当します。

保険として自治体が求めているのは「他人を死傷させてしまった時の損害の補填」です。

自分自身のケガを補償せず、必要最低限を備えるのだとしたら、個人賠償責任保険に加入しておけば加入義務に対応していることになるのです。

家族も補償の対象になるの?

この保険は一人が加入するとその家族も対象になるので、誰をメインの被保険者(保険の対象になる人)に設定するかが重要になります。

一般的な個人賠償責任保険では、以下の人が対象になります。

個人賠償責任保険の補償対象になる人の範囲
  • 被保険者本人
  • 被保険者本人の配偶者
  • 被保険者本人または配偶者と生計を共にする同居の親族
  • 被保険者本人または配偶者と生計を共にする別居の未婚の子

つまり、世帯主を被保険者に設定すれば、同居の父母や子ども、地方の大学進学で一人暮らしをしている未婚の子まで対象になります。

同居の父親を被保険者にしてしまうと、別居の未婚の子は補償から外れてしまいます。

世帯主が単身赴任になった場合でも「配偶者と生計を共にする同居の親族」や「被保険者本人と生計を共にする別居の未婚の子」という条件があるので安心です。

被保険者に含まれるかどうかは、事故があった時点で判断されます。

最近では被保険者が「責任無能力者」である場合、その親権者や法定監督義務者などを補償の対象とする保険会社も出てきました。

認知症を患っている人が踏切内に入り込んで事故を起こしてしまった場合、その監督義務者に責任が問われた事件を汲んでのことです。

電車自体に損傷はなくても遅延損害金に対応する補償を出している保険会社もあるので、ご家族を介護している人などは丁寧に約かんを読み比べてみましょう。

逆に「責任無能力者」は補償の対象としない、と明記する保険会社もあります。

個人賠償責任保険で注意すること

重複加入にご注意を!

2つの保険会社で、それぞれ1億円の補償をつけていたら、合計2億円の補償されることになるので安心ではありますが、実際に事故が起きた場合、賠償金が1億円であれば2つの保険会社から5000万円ずつ払われることになります。

つまり手続きも二倍になるのです。賠償金が3万円だったとしても同様で、1万5千円ずつ保険金請求の手続きをしなければなりません。

無制限の補償しているものに加入していれば、それ以外の補償は無駄になるので、無制限の保険だけ残して、あとは解約すれば保険料の節約になります。

補償がなくなってしまわないように注意!

個人賠償責任保険をつけていたカードを解約したり、自動車を手放すので保険を解約したりすると、オプションで付けていた個人賠償責任保険も一緒に解約されてしまう場合があり注意が必要です。

無保険の期間がないように、新たな補償をつけてから解約するようにしましょう。

しかし、新たに加入しようとすると、車にも自転車にも乗らなければ、ケガの保険は年齢制限があって加入できないことがあるかもしれません。

そんな場合でも、火災保険の特約としてセットすることができますので、他の保険で個人賠償責任保険を契約していない人は、加入の検討をしてみましょう。